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「夜の世界」から日本を変える ―「PLANETS vol.8」その後@10°CAFE 第1回 4/13(土)19:00~ 堀潤×宇野常寛 ニッポン開発委員会2013 ――「社会のOSをアップデートするために」に参加してきました。

第二次惑星開発委員会

http://wakusei2nd.cart.fc2.com/ca3/19/p-r-s/

 

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私が宇野さんやPLANETSのことを知ったのは、3月23日(土)に同じくここ10°CAFEで行なわれたイベント”常見陽平×真実一郎×宇野常寛 「不良会社員のススメ」”でした。しかもその時の目的は常見さんでしたので、正直宇野さん(真実さんも)のことは全く知らないまま参加しました。

 

私は不動産系の会社で総務人事の仕事をしています。

比較的新しい会社ではあるものの、業界の宿命か古臭いカビの生えたビジネスモデルを持ち、当然ながら副業禁止。常々疑問を抱いていた「クレヨンしんちゃん」的家族構成を前提にしているようなこの社会について、「働き方」の観点から何か面白いことが聞けるかと思い「不良会社員のススメ」に参加しました。

常見さんが提唱するのは、「会社の中で新しい仕事をすること」

これは私にとって目からウロコの発想でした。私がいる会社は中小企業、それもどちらかというと小企業に分類されるのですが、現状副業というかたちでは行動をおこしにくいことから、「会社の中で新しい仕事をすること」について、一理あるなと感じました。

 

そうした「働き方」に関する話の中で何故宇野さんに興味を持ったかというと、こうした現状にそぐわない働き方を求められる大きな原因のひとつに”世代間の溝”があるということ、そしてその溝を埋めるものは「文化」である、という話をされたことでした。

 

「働き方」を変えるために、いきなりそのものについて変化を起そうとしても難しい。社会が変わるには順序がある。まず最初に「文化」「想像力」が変わり、次に「衣食住」が変わる。そして最後に「社会」が変わるのだ。

 

・・・この人の話は面白い!これは私の抱いている疑問を解消するための指針になるぞ!という思いを強くし、積極的に著書を読み漁りわずか1ヶ月。今では立派な宇野さんファンとなりました。

 

そうした中で昨年終わりごろに発売されたPLANETS8。チカラの入り具合が尋常ではないこの本に完全に魅了され、読み解こうと必死になる中で開催された本イベント。非常にありがたかったです。普段こうした論説・評論誌を全く読まないため、読み進めるだけでも難航していました。文字を読むのとコトバで聞くこと、理解の質が変わるものですので、こういった試みは都度開催していただけると嬉しいですね。

 

今回のイベントは連続講義の1回目。各回の内容は以下のようになっています。

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第1回 4/13(土)19:00~ 堀潤×宇野常寛

ニッポン開発委員会2013――社会のOSをアップデートするために

 

第2回 5/3(金)19:00~ 濱野智史×宇野常寛

ポスト戦後的都市生活と「衣食住」――あたらしいホワイトカラーの誕生と情報社会

 

第3回 5/19(金)17:00~尾原和啓×宇野常寛

21世紀の〈原理〉――ソーシャルメディア・ゲーミフィケーション・拡張現実

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実は、本イベントに参加するまで堀潤さんのことは全く知りませんでした。

NHKという「昼の世界」の象徴のような場所で、「夜の世界」と関わりながら変えていこうと様々な行動をおこされ、福島第一原子力発電所事故報道における局の方針をツイッターで批判したため、結果退職を余儀なくされる事態にまでなったことを打ち明けられ、私はそのとき軽く涙ぐんでしまいました。しかも、ツイッターをやっている間、常に辞表を持ち歩いていたという。

なんでしょう、堀さんが纏う人的オーラの凄さは。この人に付いていきたい!と思わせる何かが堀さんにはありました。NHK内部で斯様な行動を起された、その心意気が醸し出すものなのでしょうか。

 

正直、今の私には本講義の内容を文章で表現する力はありません。

私が「面白い!」と感じたことを中心に、多分に箇条書きの要素を含んだ形式で書き綴っていこうと思います。

 

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●PLANETSを構成する3本の柱

①日本のインターネット社会について

②新しい衣食住観について

③上記を踏まえ、僕らの社会をどう変えていくかについて

※今回の連続講義と連動しており、第1回が③、第2回が②、第3回が①にそれぞれ対応している。

 

●「昼の世界」と「夜の世界」について

・「昼の世界」=政治や経済・・・幅広い年代

・「夜の世界」=サブカルチャーやインターネット文化・・・ほぼ若者しかいない

簡単にまとめると以上となる。

 

私は一般的な会社員なので基本的には昼の世界の住人ではあるが、意識の上ではもう「昼の世界」に興味も思い入れも無くしてしまっている。こうしてブログを書いたり本イベントに参加しているのは、積極的に夜の世界に関わろうとしているから。そして、「夜の世界」に面白みを感じているから。これはシンプルながら重要なことだと思っているのですが、「面白そうだから」とか「楽しそうだから」という理由は強いと思います。翻っていえば、今の政治や経済が「面白くない」ことに端を発しているのでしょう。

 

しかし、そういった昼の世界の中にも鼻が利く連中がいて、夜の世界の重要性を理解して積極的に関わろうとする。それが今回の対談相手、堀潤さんでもあるのでしょう。

最初の方に取り上げたとおり「社会」が変わるのはスピードが遅く、「文化」や「衣食住」が変化していくことによってようやく「社会」が変わり始める。宇野さんは即物的な考え方を意識しながらも、そのスピードの遅さに我慢がならず、外部から変革を起そうとしている。ただ同時に、外部だけでは変えることができないことも承知している。(=堀さんのような内部改革者との関わりが必要になってくる。・・・このタイミングで堀さんがNHKを退職されるという事態にはなったが(笑))

 

この「世界」の話で特に面白かったのが、

”昼の世界にいれば、ある程度意識が低くても生きていける”

というコトバ。面白くない世界でもある程度楽に生きていける、ということなのでしょうか。逆に言えば、夜の世界で生きていくには、「情報は受け入れるもの」ではいられない。「情報は発信するもの」となっていく。それって、結構ハードなものかもしれませんね。

 

●「夜の世界」が「昼の世界」に影響を及ぼすことができない理由はどこにあるか?

”信用”と”数”が問題ではないか、とのこと。(宇野さん)

 

まず、単純に数(母数)が少ない。圧倒的に昼の世界の住人の方が数が多いことに起因している。そして「信用」を担保するには「数」が必要となる。さらに「信用」を得るためには「実績」を示さなければならない。その「実績」となるAKB48の成功やコミックマーケットの実情が、一般的なニュースや新聞に取り上げられることが少ないことで、それらのメディアに対して「信用」が持てなくなっているのが今の現状なのではないか。

 

●選挙がつまらない理由

「選挙のシステムがクソである」と「オバマのような英雄がいない」といった二極化になりがちだが、そうではない。そもそも相手側のルール、システムで闘っているようではいけないのだ。

そして、民主党へ政権交代した末の「何も変わらなかった」感が大きく、選挙に対して”この1票で世の中を変える”ことへの「信頼」が失われていることがある。

 

●「お金持ち」とは何なのか?

「単純に貯金や収入の多さから計るものではなく、自分を信頼・信用して銀行等がお金を貸してくれる額の大きさ」が多い人のこと=堀江貴文のコトバ

ということを宇野さんが仰いましたが、とても納得しました。

評価経済社会とは岡田斗司夫さんが提唱した概念だそうですが、これを否定する考え方の根本は「宗教じみている」ということに尽きる。宇野さんと同じく、私もそれの何が問題なのかよくわかりません。ただ、評価経済社会のほうが「面白そう」であると思います。

 

貨幣の価値ってなんだろう?という問いかけに対し、堀潤さんは、

”貨幣の価値=信頼のマイレージで補えないものをまかなうもの”

と答えられました。とてもよいコトバだと思います。そうであるべきだとも思います。

 

●個人が、何か大きなものにコミットできることが重要になる。

この例として堀さんが挙げた、アメリカ・ホワイトハウスの陳情受付サイトに提出された”デス・スター”建設依頼に関する話がとても面白かった。詳しくはこちら↓

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デス・スターは作りません――国民の陳情にホワイトハウスが公式マジレス

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1301/14/news013.html

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こういった話をバカバカしいと流してしまう人も多いと思いますが、これはとても大きな意味を持っていると私は思います。個人が大きなもの(例ではホワイトハウス)に直接コミットでき、結果がどうあれ行動を起させることができたということが、です。

 

トップダウンで降りてくる情報に信用がおけなくなっている中、ボトムアップで自然淘汰され残った情報(=人々の総意に近いもの)が相手に「伝わる」こと、これが昼の世界と夜の世界を繋ぐインフラとして構築されることが、今後の日本を考えていく中で重要となるのではないでしょうか。(インフラに害悪は無く、乗っかったコンテンツがずれているだけ、という堀さんの話も面白かった。)

 

●夜の世界の住人が増えないのは何故か?

⇒あまりにも昼の住人と、セーフティネットが違うことに起因しているのでは。

 

これは掘さんが失業されて国保に入った例が分かりやすい。国民健康保険がとても高いことを、昼の世界の住人は、知識としても実感としてもほとんど知らない(私も詳しくは知りませんでした)。昼の世界で生きていくことを前提とした社会(セーフティネット)が構築されているから、夜の世界の住人が増えないと考えられる。これは先に少し触れた、一般家庭の構成が「クレヨンしんちゃん」以上「サザエさん」以下で考えられていることが大きい。「共働き」と「晩婚」が進むこの時代において、いつまでこの時代遅れな考え方で日本を定義するつもりなのか。

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第1回の講義はおおよそこういった内容でした。講義から一日あけた本日この記事を書いていて、実はまだ情報を吸収しきれていません。そもそも、こういった論説について考えるということを今までしていなかったこともあり、PLANETS8を読み終え、理解し終えるのはいつになるのか途方にくれそうになります。

 

ただ、社会を変えようと考えることは、単純に「楽しい」し「面白い」。しかもその情報を発信して反応が返ってくれば、なお楽しい!(ボロクソに叩かれることもありますが、無反応よりもよっぽど嬉しい) もし上記の私なりのまとめにミスがあれば、ぜひご指摘いただきたく思います。

 

こうやって考える機会を作ってくださった宇野さんには、とても感謝しています。第2、第3の講義を楽しみに、PLANETSを解読しておきます。そして次は懇親会にも参加します!

ありがとうございました。

 

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【追記】

安全保障・教育・経済政策の内、安全保障以外は切り離せるのではないかという宇野さんの発言について聞き逃してしまったので、誰かご存知でしたら詳細を教えていただけると嬉しいです。気になっています・・・。

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【参考文献】

日本文化の論点 (ちくま新書)

日本文化の論点 (ちくま新書)

PLANETS vol.8

PLANETS vol.8

ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)

ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)

リトル・ピープルの時代

リトル・ピープルの時代

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