ドキュメンタリー映画 「ガレキとラジオ」を観て感じたこと。そして、決めたこと。
ヒューマントラストシネマ渋谷で、ドキュメンタリー映画「ガレキとラジオ」を観てきました。これは、東日本大震災で被害が大きかった宮城県南三陸町で災害のすぐ後で設立され、わずか1年足らずの2012年3月31日に閉局したラジオ局「FMみなさん」の活動を追ったドキュメンタリー映画です。
もともと職場に近いこの映画館には頻繁に足を運んでいて、この映画が上映されていることは知っていましたが、半ば「震災はもう終わったこと」という意識の下、あまり興味を持っていませんでした。そんな私が急遽観ようと思い立ったのは、購読しているメルマガ「津田大介の『メディアの現場』」の2013年5月17日発行 vol.77の冒頭部分を読んだからでした。
有料メルマガなので基本的には一般公開されていませんが、上記冒頭部分はハフィントンポストに転載されているため、下のURLで読むことができます。復興を考える上でとてもためになる記事ですので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
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災害ラジオ局で考えた「メディアの経済的循環」(ハフィントンポスト)
http://www.huffingtonpost.jp/daisuke-tsuda/2_6_b_3340968.html?utm_hp_ref=japan
津田大介のメディアの現場
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また、ラジオそのものの展望に関しては以下の評論家・荻上チキさんのインタビュー記事が思考の助けになると思います。
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ラジオの可能性を信じる評論家・荻上チキさんに聞く「メディアの現状と近未来の展望」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35943
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映画のあらすじに関しては多く語りませんが、ラジオ経験の無い素人集団が手探りで、たった時給850円・月収12万円ほどの収入を元に、南三陸にすむ8000人に希望を与えていく姿に、自然と涙が出てきました。テレビがあまり取り上げない、被災者自身が被災地の復興に、自分たちにできることで取り組んでいること、それを知ることができて、本当によかった。
上映後、監督・塚原一成さん、放送作家・小林昌弘さん、そして漫才師ノンスタイルの石田明さんのトークショーが行なわれました。なぜ石田さんが?と思っていたら、石田さんは震災後10日経ったあたりからすでに気仙沼へ復興支援に向かわれ、それから幾度となく関わり続けていたことから、それを知った監督がお呼びになったそうです。石田さんは被災者の方に笑いをもたらそうと行ったにも関わらず、現場は子供たちの笑顔ですでにあふれていて、本当に求められていたのは「おもしろい話をすること」ではなく、「話を聞いてもらうこと」だったことを知り、被災者のやりきれない気持ちをひたすら聞いて回ったそうです。
石田さんが被災地のためにやっていることは、「宮城県の日本酒を飲むこと」。なんだそれと思うかもしれませんが、私たちが日常的にできて、かつ持続可能なのはそういった小さなことなんだと思います。1度だけ大きな支援をしてあとはほったらかし、よりも、日々被災地のことを思い描きながら小さな支援を続けることが、被災地のことを思う上で必要なことではないでしょうか。
震災のこと、被災地のこと、被災者のこと。
忘れないことが、大事なんです。
私は来月、被災地に行ってみます。
具体的に何ができるかはわかりませんが、「現実」を「自分の目で」見たくなりました。
この映画が、100年経っても語り継がれるものとなりますように。