日野瑛太郎 『脱社畜の働き方』に学ぶ、”会社” ”仕事”との付き合い方。
ついに発売されました!
私の敬愛するブロガー・dennou_kurageさんの『脱社畜ブログ』が、本になりました。好きなブログが書籍化すると、ほんとうに嬉しいです。特に、世間一般的な感覚に背を向けるようなブログが書籍化すると、なんだか市民権を得たような気がして、少し世界が変わるんじゃないかと思えたりして嬉しい。
この『脱社畜ブログ』は月間50万PVを叩き出す人気ブログでありながら、まだ「社畜」なんていう言葉は言論封殺されかねないところがあります。当然テレビやニュース、新聞なんかでは使われない言葉でしょうから、「労働が美徳」であるという考え方の染み付いた日本人は、こんな言葉に嫌悪を抱くのかもしれません。
ただ、ようやくニュースでもブラック企業について対策を練る必要があるといったものや、育児休業制度の運用について取りざたされたりと、「働き方」についての問題意識が変わってきたように思います。戦後復興を成し遂げるため、労働を美徳と仕立てて右肩上がりの経済成長を遂げた時代の働き方が、2013年の現代の働き方と噛み合わず金属疲労をおこしていることを、その当時を知らない若い人たちが次々と会社員になっていく中で気づき始めたのでしょう。
もう、終身雇用なんてないんですよ?
もう、給料が右肩上がりで増えることなんてないんですよ?
頭ではわかっていても、「働くことは尊い」だとか「会社のために尽くすことは素晴らしい」といった旧型の精神論にほだされ、問題意識を持つことなく社畜を続けてしまう。そんな人のためにこの本は存在しています。・・・が、問題はそんな社畜の方はきっと「脱社畜ブログ」を読んでいないし、この本が目に入ることもないんだろうなぁと思うと無念です。
この本は5章に分けて脱社畜について語られているのですが、最初の1章は正直目新しいものではありません。いわば当たり前のことが書かれています。問題は、その当たり前のことがなぜ書かれているのか。それは、考え方としては当たり前でも実際はできていないからに過ぎません。”サービス残業” ”有給休暇” 。前者はれっきとした犯罪ですし、有給を取るのに理由はいらない。わかっていても残業してしまうし、有給は取れないまま。そんな社畜根性を取っ払ってくれる章です。
続く2章ではこの本のメイン、「脱社畜」の考え方についての論考となっています。もともとのブログを読んでいれば何ということはないですが、驚くほどにバッサリと社畜思考を叩き斬ってくれます。
”やりがいという名の幻想” ”成長神話” ”経営者目線で働けという欺瞞”など、会社員を続けるうちに洗脳されていきかねない思考について、目を覚まされるような気分を味わえます。
3章は、著者・日野瑛太郎さんがどうやって「脱社畜」の考え方ができるようになったかの自伝です。ブログを読むうちに著者の人となりが気になってくるのはよくあることだと思いますが、もちろん私も気になっていたので、この章には驚きました。詳しくは述べませんが、○○なウェブサービスを作っていたなんて!一度独立した経営者となってしまうと会社員には戻れないという記事を書かれていましたが、それが肌で感じられる章になっていました。
4章では、プライベートプロジェクトというものについての解説がなされています。完全に自分にオーナーシップがあるシゴトを創ろう!ということですね。個人的にはこの章が一番元気を与えてくれました。お金をもらうための仕事=ライスワークだけではなく、並行してライフワークとなるシゴトを創り、会社に依存しない経済基盤をつくる。私がいま目指していることです。「暴落しない唯一の投資先は自分である。」という考えをもとに、会社にではなく、自分にお金も時間もかけないといけませんね。
最後の5章は、脱社畜後の未来について語られています。残念ながら、私にはここに描かれている未来を、生きているうちに経験することはできないかなぁと悲観的な思いでいます。そこまで明るい兆しがまだ見えていないからかもしれません。ただ、ここに描かれている未来が到来すれば、きっと多くの人が幸せになれる。そう、思います。
私は、この本でいうところの『精神的脱社畜』者であると思っています。日野さんは「多くの人はこの『精神的脱社畜』まで到達できればいい」と仰いますが、私はその先の『経済的脱社畜』を目指しています。日野さんのブログにふれ、著書にふれて、機能不全を起こしたシステムの中で生きていくのは、もうたくさんだと心底思いました。
会社に、働き方に、折り合いをつける。
そのことを学ばせてもらいました。
- 作者: 日野瑛太郎
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