三谷幸喜 『清須会議』会議という名の、忠義と野望渦巻く無血戦争
ひとりだけでも映画一本撮れる大物スターが26名集まった話題作。予告編での大泉洋のサルっぷりが見事で気になっていました。天下の三谷幸喜作品で、これだけのキャストとあればハズレはないだろうと意気込んで観に行くことに。
結論から言って、非常に面白かった。演技達者なベテラン主演陣と、各々のキャラクターに合わせてセリフを編み出した三谷幸喜の脚本が実にマッチしていましたね。
何度も言って申し訳ないですが、本当にキャストが豪華すぎる!!三谷作品には付きものの主演陣はわかるのですが、端役に松山ケンイチや染谷将太、天海祐希を使うなんて贅沢すぎです。ずらっとキャストを並べてみましょう↓
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池田恒興:佐藤浩市
前田玄以:でんでん
織田三十郎信包:伊勢谷友介
お市様:鈴木京香
寧:中谷美紀
松姫:剛力彩芽
三法師:津島美羽
佐々成政:市川しんぺー
金森長近:清末裕之
稲葉一鉄:久世浩
蜂屋頼隆:迫田孝也
長束正家:望月章男
佐久間盛政:松永一太
弥助:ショー片島
織田信長:篠井英介
なか:戸田恵子
小一郎:梶原善
小袖:瀬戸カトリーヌ
義兵衛:近藤芳正
明智光秀:浅野和之
枝毛:天海祐希
更科六兵衛:西田敏行
さまざまな声:山寺宏一
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もうお腹いっぱいですね。
何気に、映画「ステキな金縛り」の主役・更科六兵衛(西田敏行)が登場しているのが笑える。映画の中でもほんのワンカットだけでしたが、異様な存在感がありました。
ストーリーを簡単に説明すると、本能寺の変で志半ばに倒れた織田信長の後継者および遺領配分を決めることを目的として、尾張国清洲城(愛知県清須市)で開かれた会議野模様を描いた物語。
織田家の重臣4名・柴田勝家、丹羽長秀、羽柴秀吉、池田恒興(会議に間に合わなかった滝川一益の代わり)によって会議が進んでいくのですが、跡継ぎとなる織田家の人間はこの会議に参加すらしていなかったことに驚く。それぞれの重臣が織田家の面々を跡継ぎとして擁立していくわけだが、跡継ぎ候補が実に軟弱で重臣に転がされまくる。本当にあの織田信長の子どもたちなのかと心配してしまうほど。結局、重臣が大名としてそれぞれ領土を分配して支配し、独立。織田家の名は地に堕ちることになったんですね。
織田信長が本能寺で殺され、明智光秀が秀吉によって討たれた後のことは、学校の授業でもさらっと流されていつの間にか秀吉の天下になっていたため、清須会議という大きな転機があったことを詳しく知りませんでした。血で血を洗う闘争が巻き起こっていたこの時代に、会議という名の無血戦争が繰り広げられていたとは・・・歴史とは面白いものです。
これはもう、歴史に興味があるなら絶対観た方がいいです!善人ぶった人物もおらず、それぞれがそれぞれの理念や忠義、野望に従って動くあたり、とても人間臭くて好感が持てます。一級品の人間ドラマが観たい方はぜひ!
PS:私はあまり好きではない剛力彩芽さんが出演されているのですが、その公家顔がこの時代背景にピッタリで、実にいい役柄をこなされています。特にこの表情が素晴らしい。
夢に出そうな程怖いです・・・。