新解釈で描くハリウッド版 『オールド・ボーイ』は、韓国版の呪縛から逃れられるか?
ハリウッド版『オールド・ボーイ』6月公開! 原作とも韓国版とも違う…新解釈で描く
韓国映画『オールド・ボーイ』
韓国映画といえば甘ったるいだけのくだらない恋愛モノが多くを占めているように感じるのは、おそらく韓流ブームのせいだと思われるが、社会派やホラーの分野ではわりと名作が多い。
ポン・ジュノ監督・ソン・ガンホ主演の『殺人の追憶』は実在の事件を題材にした傑作ミステリーだし、同じくポン・ジュノが監督した『母なる証明』は、第62回カンヌ国際映画祭のある視点部門で上映されたこともある。
オールド・ボーイもそのひとつで、パク・チャヌク監督の復讐3部作としてつくられた映画の2作目である(ちなみに1作目が『復讐者に憐れみを』、3作目が『親切なクムジャさん』)。
原作との違い
オールド・ボーイには原作がある。日本で1996年から1998年に雑誌「漫画アクション」で連載された、土屋ガロン(作)、嶺岸信明(画)による同名の漫画『ルーズ戦記 オールドボーイ』だ。
実は、映画版と原作漫画ではストーリーが少し違う。
映画:ごく平凡な生活を送っていたオ・デスはある日、突然誘拐され、15年間監禁された。解放されたデスが、自分が監禁された理由を解き明かすために奔走する5日間の物語。
漫画:ごく平凡な生活を送っていた五島慎一はある日突然誘拐され、10年間監禁された。解放された五島が、自分が監禁された理由を解き明かすために奔走する物語。
基本的には理由もわからず監禁された主人公が、理由もわからず10年ないしは15年後に解放され、主人公が監禁した相手を探すために奔走するといったストーリーなのだが、その監禁理由にとても大きな違いがある。
ネタバレになる上、一番面白いポイントなので詳しくは言えないが、韓国映画版の方がより重い展開で、私からすると漫画版よりもバツグンに面白く脚色されている(漫画版も大好きですよ)。
ハリウッド×オールド・ボーイ
韓国映画『オールド・ボーイ』が公開された後、ハリウッドでリメイクされるという憶測が広まったことがある。ユニバーサル・ピクチャーズがリメイク権を取得し、スティーブン・スピルバーグ監督とウィル・スミスが主演するという形で。
途中でその話は頓挫したのかしばらく音沙汰がなかったが、製作会社のマンデート・ピクチャーズがいつのまにかリメイク権を獲得して、監督にスパイク・リー、主演をジョシュ・ブローリンを迎えて制作が進み、今年の6月には公開されることが決まった。
ストーリーにも変更が加えられ、原作や韓国映画版をなぞったリメイクではなく、新解釈版と言える内容に仕上げられているらしい。公式のストーリー紹介を引用してみよう。
1993年10月8日、広告代理店重役ジョー・ドーセットは、泥酔して真夜中の街を彷徨っていたはずが、気がつくと見知らぬ一室に閉じ込められてしまっていた。何者かの監視下に置かれ、ひたすら単調に流れる時間に精神を蝕まれる絶望の日々。理由も分からない監禁生活がついに20年目に突入したある日、ジョーは突然外界に解放される。9.11同時多発テロも、イラク戦争も、そしてオバマ大統領の誕生も知らぬままに…。
だが、監禁中に妻殺しの汚名を着せられたジョーは、休む間も惜しんで猛然と動き出す。自分を陥れた男を捜し出し、復讐を成し遂げるため、愛娘・ミナとの再会を果たすために。やがて、彼の前に姿を現した犯人は、あらゆる人間の良心を捨てた冷酷非情な男だった…。
いかにもアメリカンな仕様になっているのが違和感バリバリで不安なのですが、面白いのは監禁期間が「20年」になっていること。漫画原作は10年、韓国映画版は15年、そして本リメイク版は20年・・・なぜ5年ずつ増えていっているんだろう?気になる。
そして、何より気になるのが『結末』。韓国映画版を観ていて、真相がわかったときの衝撃は半端ではなかったのですが、この『結末』はリメイク版では変更が加えられているそうだ。確かにあの真相は、「韓国」という国だからタブーとなったという意味合いもある。どう変更が加えられているのか?楽しみ半分、不安半分といったところ。
6月の公開までに、韓国映画版で復讐・・・いや復習しておこう。
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