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「ビッグイシュー日本版」代表・佐野章二 × 家入一真が語る「ゲリラ的に社会を変える方法」参加レポート

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※家入一真さんと写真撮影

※本レポートは10,000字以上あります!

BIO CROSS TALK vol.1 : 「ゲリラ的に社会を変える方法」

BIO CROSS TALK vol.1 : 「ビッグイシュー日本」代表・佐野章二(73歳) × 家入一真(35歳)が語る「ゲリラ的に社会を変える方法」(5/9 19:00〜@渋谷) | BIG ISSUE ONLINE

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プロブロガーであるイケダハヤトさんには、私が主催しているブロガーミーティングにゲスト出演していただいていることもあり、大変お世話になっているのですが、今回はそのイケダさんが編集長を務めているビッグイシュー・オンライン(BIO)の独自イベント「BIO CROSS TALK」第1弾に参加してきました。

 

「BIO CROSS TALK」のコンセプトは名前のとおり「クロス」。極力縛りをなくし、年齢や性別、それぞれが持つ価値観、居場所等をクロスさせることで産み出せる新しい価値をデザインしていこうというものです。

 

第1回となる今回は、「ビッグイシュー日本版」の創設者である佐野章二氏と、東京都知事選出馬が話題になった家入一真氏の対談形式。歳の差はなんと38歳で、このイベントが初対面となるおふたり。イケダハヤトさんがモデレータとしてまくかき回してくださる展開になりました。

 

詳細なレポートの前に、まずビッグイシューについてご紹介しておきましょう。

 

ビッグイシューとは?

みなさんは、路上で冊子のようなものを手売り販売しているホームレスの方を見かけたことはありませんか?東京や大阪といった大都市圏ではよく見かけるのではないかと思います。

 

ビッグイシュー日本版|販売のしくみ

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「ビッグイシュー日本版」の定価は350円。ホームレスである販売者が路上で手売りを行ない、その内の180円が収入となる仕組みです。最初から仕入れ代を取るのは現実的に難しいこともあるのか、販売当初の10冊は無料でホームレスに提供されます。全て販売できれば売上は3,500円。それを元手に今後は1冊170円で仕入れてもらう仕組みとなっています。

 

私も何度か購入したことがありますが、350円という価格に対してページは少ないものの、記事が濃密でとても読み応えがあり、無駄なページがないことを考えると費用対効果の高い冊子であることがわかります。ホームレスが売っているからお情けで買う、というものではなく、ビッグイシューだから買うという強い誇りのようなものを感じますね。

 

ちなみに今回モデレータとして登壇されたイケダハヤトさんは、このビッグイシューのネット版「ビッグイシューオンライン」の編集長を勤めていらっしゃいます。

BIG ISSUE ONLINE

ビッグイシューの挑戦

ビッグイシューの挑戦

 

 

Google Docsを使用した共同リアルタイム書き起こしに参加!

 

さて、前置きはこれくらいにしてそろそろレポートに入ろうと思いますが、もう1点だけ。普段私がイベントレポートをアップする際には、内容を要約して紹介することが多いのですが、今回はイケダハヤトさんからご提案頂き、Google Docsを使用した共同リアルタイム書き起こしに参加させていただくことになりました。

 

簡単に説明しますと、イベントで交わされる会話をその場で書き起こすという作業を、複数の人間で行なうというもの。言うは易しですが、聞いたことをそのままリアルタイムにアウトプットするには、凄まじいまでのタイピング能力が必要です。イケダハヤトさんは自分がモデレータにも関わらず、客側で聞くことに集中できる私たちよりも速くタイピングできるという「特殊能力」をお持ちのようで、私は全くついていくことができませんでした。

 

確かにこの作業ができれば、参加したイベントの詳細なレポートを早くアップすることができるので非常に魅力的です。タイピング速度を上げる訓練が必要だなと実感しました。

 

というわけで、完璧な書き起こしレポートはイケダハヤトさんがアップされるかと思いますので、私はいつものように要約版をアップしようと思います。

 

イベントレポート!

会場はgeechs(ギークス)株式会社が運営する21cafeというイベントスペース。渋谷駅をマークシティ方面に歩いてすぐの場所ですが、距離はともかく迷いやすい場所にあります。ということもあり、佐野さんと家入さんはしっかり迷ってらっしゃいました。開始時間ギリギリで到着され、なんとかイベント開始に。遅刻ブランディングに成功した家入さんがちゃんと来られるか心配だったのは「仕様」です。

 

元々このイベントは、佐野さんが家入さんに興味があって、イケダさんに紹介してほしいという流れから始まった企画だそうです。佐野さんがホームレスの支援を始めたのは、普通こういった支援は行政や福祉がやるものだが、これをビジネスでできないかと考えたことがきっかけ。ホームレス問題は社会問題の中でも解決が一番難しい問題。ビジネスでこの問題が解決できれば大体の社会問題の解決に繋がるし、企業も巻き込んでいけるんじゃないか。そう思っていたところで、「居場所づくり」をビジネスの一環としてやっている家入さんの存在を知り、ぜひ会って話をしてみたくなったんだそうです。

 

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ホームレス問題を解決するには?

佐野:端的に言うと、失業ですね。仕事を無くすと収入がなくなる。収入がなくなると、家賃が払えなくなる。でも、これだけではホームレスにはならない。どういうことかと言うと、身近な絆を失うことでホームレスになるんです。1人ぼっちになってしまうとホームレスになってしまいます。

 

僕、「孤立」と「孤独」は違うと思っているんです。1人でいる時間というのも、すごく大事ですよ。何かを考える時間は1人で考えるでしょ。でも「孤立」は「孤独」でいることを奪われる状態、これが孤立じゃないのかと思います。「孤立」はモノを考えたりするどころではない。そういう風に言うと格好いいですけど、半年前に映画にもなった「ハンナアーレント」、ユダヤ人の政治哲学者がそういう風に言っていました。ホームレスになるしんどさというのは孤独になる権利が無くなることだと思っています。

 

東日本大震災から「絆」という言葉が頻繁に使われるようになりました。あまりにも使われるのでちょっと辟易していましたが、やはり身近な繋がりがなくなることで人はホームレスになってしまうんだなと考えさせられました。私が「孤独」な時間をとても大事にしています。人と会うのはそれ以上に大事なことかもしれませんが、人と関わる時間と同じだけ「孤独」な時間を持つようにしています。でも、「孤立」はしたくない。孤独になる権利すら奪われている状況で、人はまともに生きていけない。過去の経験からもそう思います。

 

イケダ:最近の傾向として、若いホームレスが増えてきているのでは?

 

佐野:そうですね。ビッグイシューを売る人は結構元気で、平均で50歳前後だったんです。ところが2007年になってから、あるとき、13人販売者になりたいという人がいたんです。そのうちの7人が20〜30代の人だったんです。「なんで若い人がホームレスになるんだ!」と思って、50人の人をヒアリングしました。やっぱり若い人がピンチなんですよね。

 (中略)

年配のホームレスのおじさんは仕事に誇りを持っているんです。「東京タワーは俺がつくったんや!」みたいに、自分の仕事に誇りを持っているんです。集まるとそういう自慢話で、すごい盛り上がるんです。その延長で路上で雑誌を売ってくれるんですが、若い人は仕事のキャリアがないというのがあります。しかも、自分がホームレス状態になったのは気概を中々、持ちたくても持てない。そうすると、どうなるか。病んじゃうんですね、抑うつ的になってしまうんです。

 

4割くらいの人が抑うつ的状況を抱えています。家、お金がなくて、抑うつの状況に押し込められてしまう。おじさんのホームレスと同じような対応ではダメなんですよね。個別的に対応するしかないんです。

 

やはりというか、若者ホームレスは増えているようですね。しかも、パッと見はホームレスに見えないような人たちが増えている。あからさまにホームレスであれば対応のしようもありますが、見た目で分からなければ対応のしようがない。ホームレスになってしまう若者に気概がないというのはよく分かります。昔の栄華を誇れる人(上記でいう「東京タワーは俺がつくった!」みたいな)はまだそれに頼ることができる。それがいいことかどうかは分かりませんが、それで頑張れるのなら越したことはないでしょう。しかし若者ホームレスは縋りつく栄華など持っていない。頼るものもないし、そもそも働きたくないと思っていたりするわけですから。

 

これに対し、家入さんはこのように述べています。

家入:これって根深い問題があると思うんですが、「今の若い人」と、ざっくりとまとめるのもよくないんですが、往々にして仕事にあんまり生活を求めていないんです。日本が安全で物質的に豊かになりすぎたのが理由なんですかね。

 

マズローの欲求の話で言うと、生理的欲求や安全の欲求を下から叶えていって、働くことも承認されるために働きたいという風になってきているんじゃないですかね。親はまだ元気だし、吉野家で安く美味しい飯食えるし、生きるために働くのではなくて承認されるために働く人が増えてきていて、そういう人たちにとっては仕事は生活ではなく認められるため。NPOや社会起業が流行るのも、そういう理由だと思いますね。

 

働いても、承認されないんだったら働かないくていいやと思って、衰弱する人が出るのも不思議ではなくて、それってある意味で幸せな悩みじゃんといわれるかもしれないけれど、深刻な悩みだと思うんですよね。豊かさを築き上げた先が見えなくなってしまっていて。

 

家入さんはよく「マズローの欲求5段階説」を持ち出されます。

※詳しくは下をどうぞ。

マズローの法則 - ☺MaSaTo☺世界一周学校

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現代日本はなんだかんだいっても平和ですし、明日いきなり紛争に巻き込まれて死ぬような可能性も比較的少ない国ではないかと思います。そういう意味では、上図①②あたりの欲求はある程度簡単に満たせてしまうのが現実なのではないでしょうか。すなわち、次に求めているのは「承認」だったりするわけです。働くことで「承認欲求」が満たせないのであれば、働く意味すら疑いはじめる。若者ホームレスが抱える心の闇は、豊かさを築き上げた先にあるものなのかもしれません。

 

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家族の定義

先日こんな記事を書きました。↓

母は「母」である前に、ひとりの人間であること。そして母性神話のウソ。 - ヘンテナブログ

親子の関係性といいますか、「家族」って何なのだろう?ということを考えながら書いたのですが、この事についてイベントで家入さんが語っていたことが非常に印象的だったので引用してみます。

家入:この話、好きでよくするんですが、リバ邸は馴染む人にとっては家族みたいになっていくんです。僕はこれを「擬似家族」と呼んでいるんですね。ある方に、家族の定義って本当はないと教えてもらいました。血のつながった存在かどうかは関係がなくて、自分が家族だと思えば家族。疑似家族ではなく家族なんだ、と。なるほどなぁ、と。それを聞いた時、家族の形が解き放たれたんですよ。

 

親との関係性に苦しめられている子もたくさんいるし、地方だとそういうこともあると思いますが、閉鎖的で排他的な環境に苦しめられることもありますよね。

 

そういう場所は、さっさと飛び出して新しい家族を作ればいいんですよね。僕はもちろん親に感謝していますが、究極を言うと、他人じゃないですか、親は親の人生があるし、親の人生に引き摺られたくないし。そう考えると、血のつながりそこまで重視しなくてもいいんじゃないかと思います。

 

私は、「人は努力でよりも、環境に大きく影響されて変わっていく」と思っています。人並みはずれた意志の強さを持っている人や、並大抵のことでは挫けない努力のできる人は別ですが、一般的な人は環境がもたらす影響に抗うことはできないんじゃないでしょうか。具体的に言えば、それは「家族」であったり、「地域」であったり、「会社」であったり。

 

これって、かなり深刻な問題だと私は思っています。というのは、「逃げる」ことを肯定的に捉えられない人って多いとかなり多いと思うんですよ。その場所で踏ん張ること、耐え忍ぶことが大事。そう求められることの方が多いんじゃないでしょうか。もちろん多少は努力が必要ですよ。すぐに諦めるのがいいとは思っていません。ただ、それに縛られる必要はないんじゃないでしょうか。自分なりにやってみて、ここは毒になると判断したならばすぐに逃げた方がいいでしょう。自分の感覚をもっと大事にしたほうがいい。

 

例え「家族」であってもそうで、最近になって「毒親」という言葉が定着したように、親だからといって決して全てが尊敬できる人間ではないでしょう。幸い私は親を尊敬できていますが、尊敬できないのに自分の親だからという理由で縛られてしまっている友人・知人が周りにいます。所詮、他人は他人。血の繋がりがあったとしても、縛られる必要はないと知ることで、救われる人もいるんじゃないでしょうか。

 

全ての人を救うことはできない

家入:(前略)リバ邸は万人の場所じゃないんですよね。それは一時期悩んでいたんです。はたして、どこまで受け入れられるのかっていう。本当に病んでいて、病院に行くような人が来たらコミュニティがバラバラになってしまうんですよ。どこまで受け入れるかを考えていたときに、ダルク(薬物依存からの回復を支援するリハビリ施設)をやっている方に「それはセグメントを分けるべきなんだよ」と、教えていただきました。

 

リバ邸はこのくらいの状態の子を受け入れる場所だと。それよりもっと貧困だったり、病んでいる人は他に受け入れる場所があるので、そういう場所に繋いであげれば、全てを受け入れる必要はないんだよと言ってくださって。

 

佐野:おっしゃる通りですね。万人を受け入れることに悩まれたのは、凄いなと思います。僕は、万人なんか受け入れらないと思います。そんな人を想定したら、ものすごい独裁者。何でもできる、そういう人が万人を受け入れるでしょう。もし、そこで万人を受け入れられる場所があるなら、それは行政的な施設、ある種の収容所に近づいていくと思っています。万人なんて受け入れられないと思った方がいいですよね。そう思う方が僕は健全だと思います。

 

ただ、それにしても、若いホームレスの人が来ても続かないんです。彼らがどうしたら販売を続けることが出来るのか。今日も販売サポートのスタッフが来ていますが、彼らは日夜悩んでいます。僕らとしては何を用意するかというと、今、承認欲求という話がありますが、承認されるような仕事があれば、それに越したことがないとは思います。それにしても仕事がないんです。僕らとしては、今日行ってすぐできる仕事、一日やってすぐに辞められる仕事、それを作りたいと思ったんです。ビッグイシューの販売者になるというのは、小銭を稼ごうと思ってきて、面接を受けます。僕らがするのは最小限の面接です。落ち込んでいる人の身元調べをやるのは最悪ですよね。むしろ最小限は聞きますが、それさえも聞かないのがいいと思うんです。売りたい、なるほど、さぁどうぞ、という流れがいい。

 

最初の10冊は無料でやってみて、その上で続けるのかを考えればいいというわけです。いつ来ても、すぐ出来て、嫌ならすぐに辞められる。とことん敷居の低い仕事場をつくれればいいんじゃないかと思ったんです。

 

ですから、そこで何万人も何十万人も、ということは考えられません。社会の中に敷居の低い仕組みが二桁もあればそれも選べるわけでしょ。彼はもう一つのシェアハウスを選んだわけですが、リバ邸みたいなのがたくさんあればいいわけです。そういうことなんじゃないかと思います。

 

これも非常に大事なことだと思います。

「自分は全知全能の神ではないし、有能な独裁者でもない」と理解しておくこと。

自分たちは総合病院を経営しているわけじゃないとハッキリ思っておかないと、あれもこれも受け入れようとしてしまいます。その精神自体はすばらしいものでしょうが、近い将来破綻してしまうことでしょう。それくらい「セグメントを分ける」ことは大事だと思います。

 

これは何もNPOや社会起業家に限らず、一般的な会社での仕事でも同じこと。「自分たちはここまでのことをやります。ですからこれ以上の事はできません。しかしそれを専門にしているところがありますので紹介させていただきます。」といった手順を踏めば、そうそうクレームを受けたりしません(悪質クレーマー以外)。自分が今できる範囲をきっちり把握しておくこと。それが大事ですね。

 

また、長いスパンで救済できる仕組みづくりは大事だと思いますが、「今日行ってすぐできる仕事、一日やってすぐに辞められる仕事 」の存在がこれからもっと必要になってくるんじゃないかと思います。何もその仕事を一生続けろというわけではありません。あくまでホームレスを脱出するための一歩として有効だからです。「今すぐ」って結構重要ではないでしょうか。「今すぐ食べられる手段」「今すぐお金がもらえる仕事」「今すぐ雨露しのげる居場所」。それが意外と用意されていません。「とりあえず面接採用後に働いてもらって、来月末に支払うから」では遅すぎるんです、ホームレスにとっては。それを至上命題に掲げているビッグイシューはすばらしいと思います。

 

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自己承認できる時間をつくる

佐野:連携して、色々なことをやっている人が連携するのが社会だと思うんです。僕らは敷居の低い仕事を提供するということをしたいんです。それでも承認欲求があるんです。生きる意欲とか自立への意欲を持ってもらいたいと思うわけですよね。

 

それはどうしているのかというと、僕らは基金でスポーツ文化活動を重視してやっています。何をやっているかというとサッカーであったり、コンテンポラリーダンスであったり、路上文学賞を作ったりしています。それをやっていってる時はすごく楽しそうなんですね。人は楽しんでいる自分は認めやすいんです。自己承認しやすいわけですよね。社会が承認するかはどっちでもいいと。自分で自分が承認できればいいんですね。なぜ基金を作ったかというと、自分で自分を承認出来る時間はどっかで作っていきたいと思ったんです。ただ、多角的に、コンツェルンにしたいと思っていませんね。

 

家入さんは事業面で色々なさっているでしょう。僕は家入さんの倍の年齢だけど、事業家としては足下にも及ばないと思っています。たくさんの事業をやられていて、それは凄いと思うんですが、なんでそういう風に出来るのか教えてほしいんですね。

 

家入:いやいやいや。すごい似ているなと思ったのは、管理したくないんですよね。リバ邸も知らないうちに出来ているんですよ。ツイッターを見てたら「福岡のリバ邸できたんだ!知らない!」とか、そういうことがあるんです。六本木のリバ邸でどんなイベントやっているかとか住人の出入りも把握してませんし。

 

最初は僕にお伺いしてくれるんですが、僕、打ち合わせとかすっぽかすんですよ。メールも返事しなかったり。家入に頼ったら前に進まないから、俺たちでやろうと、結果的に自主的になっていくんです。今まで作った会社も、全部そうで。最初は「俺はこれをずっとやっていくんだ!」という気持ちで立ち上げても、半年経つと浮気心というか、もっと面白いことが出てきたら、自然と会社に行く頻度も減っていって、オレたちがやるしかないとなるんです。

 

佐野:率先してサボる、と。

 

家入:トップがダメであればあるほど、皆、成長するというのが、ぼくの自己肯定なんですけどね(笑)

 

究極のところ、自己承認ができていれば他人からの承認なんていらなくなります。人は、自分が楽しいこと、やりたいこと、おもしろいと思うことをやっているとき、自己承認しやすくなるもの。となると、どれだけその機会を得られるかが重要になってきますね。

 

「孤立」している状態ではとてもじゃないですが自己承認などできないでしょう。むしろ自己否定から始まってしまいます。まず「孤立」している状態から解放し、人と関わりながら自分が楽しいと思えるものに触れさせる。ビッグイシューがそこまでやっていることに驚きました。ホームレスを救うといっても、ただ仕事を与えて食っていけるだけではダメで、その後に自己承認できる機会を与えていくことが、真のホームレス脱出に繋がるということなんですね。

 

これからの働き方

家入:生活費を貰う口が一カ所だと、そこがダメになったとき一気に路頭に迷うことになりますよね。それはあまりにも脆いというか…働いて生活費を得つつ、色々な顔を作っていかないと、これからの時代は生きるのがしんどいと思ったんです。

 

大きい物に依存して、いきなり、それが壊れると放り出されてしまう。そうなってしまったときにはもう遅いという状況があると思うんです。原発も同じだと思っていて。何も考えずに依存してきたのに、3.11でそれが露呈した瞬間に脱原発と言い出しても、そこに依存していた僕らもいるわけじゃないですか。

 

大きいことは良いことだ、とすべて大きくしていった結果、僕らはそこに依存し続けたんでしょうね。それが壊れてしまって、大きいものに依存して、頼っていてはいけないという時代に突入して、一社に依存して給料を貰うのは悪いことではないけど、潰れるリスクはあるわけで、当然それは大企業でもそうですよね。そうなったときに、会社の顔以外の顔を作っていこうという所から、liverty、リバ邸をやっています。お金を失って見えてきたものいっぱいあるんです。

 

佐野:リストラするのは度胸がいりますよ。度胸がないから続けていくみたいなところはありますよね。日本の経営者はみんなそうだと思います。もちろん、ブラック企業は論外ですが。

 

質問なんですが、一社だけじゃなくて、色々な顔を持って生きるというのは、それが出来ている家入さんはいいじゃないですか。でも家入さんの会社には、一社の中で5人、10人が働いているわけでしょ。そういう人たちはどうしているんですか?日々、どういうメッセージを出されていますか?

 

家入:メッセージとしては、「依存するな」と伝えています。副業禁止とかは本当にクソみたいな規定だと思っていて。土日とか空いた時間はどんどん積極的に、色んな顔を作って欲しいと伝えています。縛りたくないんです。

 

佐野:僕は従業員を仲間だと思っているんですが、それぞれ自分の持ち場で仕事をしてもらっているんです。自分の頭で考えて、今日何をやる、明日何をやるということを自分で決めていくということが出来ていれば、仮にぼくが大失敗しても、「給料払えないからビッグイシュー潰すよ」と言ったとき、佐野さんだけ辞めてください、僕らがやりますと言われるのが理想ですね。

 

一緒に働いている仲間は、どんな現場に行ってもやれる人だと思っているんです。それ位の仕事はして貰っていると思っています。僕が従業員の人に何が出来るかというと、ビッグイシューの外に出たら、もっと輝けるよと、自信持ってくださいと奮い立たせています。

 

正直、この話を聞いているときに涙が出ました。佐野さんの最後の言葉のところです。

一緒に働いている仲間は、どんな現場に行ってもやれる人だと思っているんです。それ位の仕事はして貰っていると思っています。僕が従業員の人に何が出来るかというと、ビッグイシューの外に出たら、もっと輝けるよと、自信持ってくださいと奮い立たせています。

私は9年間会社員をやっていましたが、その会社でしか役に立たない能力を植え付けられる事が多かったように記憶しています。ロクでもない会社に務めていた私の責任でもありますが、基本的にその会社を出ても輝けるように、と思って教育を施す会社なんてほとんどないでしょう。逆に「お前なんてこの会社辞めても他に働けるところなんてないんだからな」と脅してくる会社もありましたから。そういう意味でも、佐野さんは従業員を大事にしていることが伝わってきて羨ましい限りです。

 

家入さんが提唱するこれからの働き方にも大きく感銘を受けました。これは以前に安藤美冬さんのイベントに行った際にお聞きして強く納得したことでもあるのですが、「シングルインカム」に頼る怖さをもっと知って欲しいと思います。シングルインカムとは収入源がひとつということなのですが、基本的に会社員はほとんどがシングルインカムでしょう。会社を不意に辞めることになった経験から言いますと、これからの不安定な時代に収入源がひとつしかないというのは、リスク以外のなにものでもありません。

 

人間の寿命より会社の寿命の方が短い世情なのに、会社に操を立てて依存するのはあまりに危険です。家入さんと同じく、会社によくある副業規定なんて本当クソみたいなシステムだと思います。従業員をあるかわからない定年まで雇用できる保証がないのなら、2つ3つと収入源を得られるような道を見つける手助けするくらいがちょうどいい。私が直近まで務めていた会社は、おそらく数年後には潰れるでしょう。いつまでも泥舟に乗っかるつもりはありませんので早々に脱出しましたが、複数の収入源を確保できる今の状態になって、以前より安心感は増しました。会社員だからって安心せずに、明日会社が潰れても生活できる基盤をつくっておいた方がいいでしょうね、この先の時代。

 

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総論

家入さんと佐野さん波長が合ったためか、休む暇なく繰り広げられた対談はあっという間に終わりを迎えました。おふたりとも話し足りないご様子でしたので、ひょっとしたら別のところで第2回が開催されるかもしれませんね。

 

ビッグイシューはホームレスに仕事という居場所を提供し、家入さんははみだした子たちに居場所を提供している。カタチは違えど思いは近いのかなと感じました。おふたりが協力することで、また新しい「居場所」ができるんじゃないか、そんなことを思わせるすばらしいイベントだったと思います。

 

佐野さん、家入さん、イケダさん、ありがとうございました!

 

※友人らと撮影したイベントスペース風景  

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【会場「21cafe」】

会社名:geechs株式会社(ギークス) 

所在地:東京都渋谷区道玄坂一丁目14番6号ヒューマックス渋谷ビル3階

事業内容:フリーランスネットワーク事業、ソーシャルゲーム事業、WEB・スマートフォンアプリ開発事業、映像・動画制作事業、21cafe運営

 

geechsはエンジニアの育成から仕事・独立までをトータルで支援し、「学ぶ」、「仕事をする」、「交流する」、「独立・起業」をするというサイクルを一括でサポート。

 

「21cafe」ではエンジニアやクリエイターのためのイベントラウンジを運営。技術向上・情報収集に熱⼼なエンジニアの知的欲求に応えるべく、最新技術に関する講演や勉強会、ハッカソン、交流会など様々なイベントを実施するために最適な環境を提供している。

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