女優としての、満島ひかりの完成形 -日テレ水曜ドラマ 『Woman』-
日テレ水曜ドラマ 『Woman』 (2013年7月3日~)
キャッチコピーは、「わたしには、命をかけて守る命がある。」
普段まったくテレビドラマは観ないのですが、 私が普段から意識して情報を集めている”シングルマザー問題” や”生活保護” などのキーワードが散りばめられた重厚なドラマとのことで 、それとなく1話を観たところズッポリとはまってしまいました。
言うまでもなくこのドラマを支えているのは、主演”満島ひかり” の抜群の演技力。
思えば満島ひかりの『凄さ』 を初めて知ったのは、園子温監督の映画『愛のむきだし』でヒロインのヨーコを演じていたときでした。 当時は女優としては無名。しかし園子温監督をして「 もはや狂気とも呼べる領域に達した満島の芝居にすべてが圧倒され た」(QuickJapan vol.81より)と言わしめた力量だったそう。 ちなみにこの年のキネマ旬報で助演女優賞を獲得していますね。 個人的にはその後の映画『悪人』で演じた悪女役が印象的でした。
さて、 そんな女優としての階段を一足飛びで駆け上がっている満島さんで すが、元々は沖縄アクターズスクールのオーディションで優勝し、 7人組の音楽ユニット・Folderのメンバーとして活躍されていたこともあり、 歌唱力もバツグン。その歌声が十分に発揮されているのが、以前このブログにも記事にしたCM『大塚製薬_カロリーメイト「とどけ、 熱量」』ですね。
2013-01-20
とても力強く美しい歌声ですよね。このシリーズには続きがあって、米米CLUBの浪漫飛行をカバーしているバージョンもあります。すっごく、泣けます。。。
今回主演を張るドラマ『Woman』は、夫を事故で亡くした小春(満島ひかり)が、シングルマザーとなって2人の子ども達を育てながら生き抜いていく、社会派ドラマ。もう1話から壮絶で、『貧困』がとても強いメッセージとして発信されている。生活保護というと、某芸人の不祥事のせいで悪いイメージが先行しているが、その生活保護すら受けられないシーンは衝撃でした。しかも不幸はなぜか続いてやってくるようで、小春はおそらくある重病に、息子は知恵遅れの兆候が見られるという災難に。
こういったドラマにありがちなのが”お涙頂戴モノ”になってしまうことですが、そんなありきたりなものではなく、正義と悪にハッキリと分かれているわけではないところが非常にリアル。『人間』をしっかりと描けていると感じます。
前述したとおり、満島ひかりの演技力がすさまじいため、目を反らしたくなるような重苦しいドラマであるにもかかわらず、演技に引き込まれてしまい観るのをやめられない。そんな迫真の演技を評してか、放送作家のそーたに氏が『 ドラマであんなに演技がうまい必要があるんだろうか。 あんな芝居、映画にとっときゃいいのに』 とTwitterでつぶやいたことが話題になったりもしています(きっと、最上級の褒め言葉なんでしょうけど)。
回を重ねるほどに小春を取り巻く状況は悪くなるばかり。それでも小春は「死ねない」という。生きなければならないという。これほどまでに『生きねばならない』つらさを感じさせるドラマって、他にはないでしょう。誇張でもなんでもなく、小春のような境遇の人が現実に多くいるということを、私たちはもっと知らなければならない。
毎週水曜日が、恐ろしくも待ち遠しい。