失恋したらもらえる『失恋休暇』 それは従業員を大事にする、会社の想い。
Business Media 誠
「失恋休暇」を導入した、とある美容院の話
とてもユニークな試みをしている会社の記事がBiz誠に掲載されていたので紹介します。
失恋したら、すぐに休める
失恋とは恐ろしいもので、ご飯が食べられなくなる、何にも興味が持てなくなる、無表情になる、人に冷たくなる、露骨に顔色が悪くなる、エクストリーム自殺したくなる、などのひとつ、あるいは複数の症状を患い、仕事にも影響が出ることがしばしば。その恋が情熱的であればある程に症状は重くなる傾向にあるかと思います。
神戸市中央区に本社を持つ「チカラコーポレーション」は56人の従業員を抱える美容室を経営している。この会社では失恋で心を痛めた従業員に『失恋休暇』という有給制度が与えられるという。しかも、申告すれば次の日でも休むことができる(まぁ、だいたい失恋したら次の日休みたくなりますもんね)。
休暇の日数は年齢によって違いがあり、20代前半は1日、20代後半は2日、30歳以上は3日取得することができるそう。年齢を重ねるごとに休める日が増えていくというのは、失恋の痛手から立ち直るのにそれだけ時間がかかるということなのでしょう。。。おもしろいのが、離婚であれば上記の日数にさらに1日追加することができるということ。
このことについては記事でこう書かれています↓
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1402/19/news031_2.html
失恋休暇の発案者は、西靖晃社長だ。同社は56人の社員のうち女性が約40人。西社長は「女性が多い職場なので、恋愛に対しての理解を会社が示すために作った」と振り返る。
ただ意外にも、これまで同社で失恋休暇を取得したのは男性ばかりで、20代後半2人と30代1人。それも、3人とも離婚という。休暇を取得した男性社員の1人は「気分のリフレッシュだけでなく、離婚の手続きも大変だったので、この休暇はありがたかった」と語る。
リアルに手続きの時間としてこの有給を使えるというのがおもしろいですね。
この会社では他にも従業員のことを考えて、電子ジャーを設置して無料でご飯が食べられるようにしたり、子供がいてなかなか夜の集まりに参加できない従業員のために、社長自らが参加するランチ会を開いたりしているそうです。
10年以上美容師を続けることができるのは、10%に満たないともいわれる過酷な労働環境
なぜこの記事が目を引いたのかというと、私が労働問題について興味を持ち調べているということもあるのですが、実は私がひいきにしていた美容室の担当美容師が、先日その美容室を辞めて別の美容室へ転職されたことがきっかけでした。
詳しい理由は聞けないままでしたが、知り合いの美容師もジプシーのように渡り歩いていて、理由としてはもっといい待遇を求めてということでしたので、その担当美容師も多かれ少なかれそういった理由があったのかな、と思いを馳せました。
美容業界の実態について、こう書かれています。
美容業界は華やかに見える一方、徒弟制度が色濃く残り、美容室の多くが個人事業として営まれている。このため、従業員が雇用保険や社会保険に加入していないことも多い。また、美容師の給料を歩合制にしている美容院では、顧客の奪い合いという問題を抱えている。同社によると、美容学校を卒業した若者のうち、1年以内に5割が退職するという。
ホントに現実は悲惨で、極端な薄給の上に勤務時間は長く、社会保険に入らせてもらえない知り合いがいます。職人や料理人の世界と同じように徒弟制度が今でも深く根付いているのが原因でもあるのでしょうが、1年以内に5割が辞めるというのは尋常ではない。会社で人事をやっている者としては、苦労して見極めた人が本人の努力ではなく会社が原因ですぐに辞めてしまうのは、やりがいのなくなる瞬間です(もちろん一概には言えませんが)。
そんな中で、
どうすれば従業員が楽しく働いてくれるか。
どうすれば従業員がやりがいを持てるのか。
どうすれば体を壊さずに長く働き続けることができるのか。
そんなことを考えながらユニークな福利厚生を進めるこの「チカラコーポレーション」が美容業界の異端児で終わるのか、パイオニアとして認められていくのか、とても興味深いですね。
株式会社チカラコーポレーション
「『美容室の業界事情』と効果的なアプローチ法」~美容業界の人事労務管理と就業規則~ [社労士事務所の経営セミナーシリーズ] [DVD]
- 出版社/メーカー: 株式会社ブレインマークス
- 発売日: 2012/07/20
- メディア: DVD
- この商品を含むブログを見る