『その書類、ホントに「押印」が必要?』 ハンコ行政にメスを入れる千葉市長・熊谷氏の辣腕!
この記事を読みました。
その書類、ホントに「押印」が必要?
とても地味なニュースなのですが、役所を利用する多くの人にとってありがたいニュースなのではないでしょうか。私は以前、役所に用事があって訪れた際、印鑑を忘れてしまい窓口で追い返されたことがあります。そこまで重要度の高くない書類でしたので拇印やサインではダメかと申し出たところ、にべもなくあしらわれました。家まで帰るのも面倒だったので近くにあった100円ショップで三文判を買い、再度役所で手続きを完了させたのですが、このときほど「印鑑って何なんだろう・・・」と思ったことはありません。
役所はもちろん、会社でも議事録や稟議書などに押印を必要とするシーンは多いですが、「本当にこの書類には印鑑がいるのだろうか」と思ったことはありませんか?私が以前勤めていた会社は印鑑偏重主義の塊のようなところで、何を出すにしても印鑑を求められました。どう考えてもサインで済むような大した価値のない書類にまで印鑑を求められるのは、何だか気持ち悪く思ったものです。その理由は「今までがそうだったから」というもの。必要だから押させているわけではなかったんですよね。意義を申し立てたこともありますが、おそらく上に話を通すのが面倒だったのでしょう、半ギレで追い返されました。
上述の元記事の舞台は千葉市です。そう長くない記事なので、引用し紹介させていただきます。
千葉市は、多くの申請書類の届け出手続きで必要としていた「押印」の必要性を検証、約2千種類の申請手続きで義務づけを廃止、または署名との選択制にすることを決めた。事務手続きの簡略化や市民の利便性向上につながるとしている。
市によると、これまで市の窓口で行う約3100種類の手続きで、申請者らに押印を求めていた。しかし法令などで義務があるのはそのうちの約1千種類で、多くは「証明書の提示や署名で本人証明ができる手続きでも、慣例的に押印を必要としていた」という。
市は見直し指針を策定し、6月1日から義務のない押印を廃止。保育所の入所申し込みや撤去された自転車の引き取りなど、年間約220万件の手続きが簡略化できるという。
千葉市で窓口対応している手続きの内、押印が必要なものは約3,100種類。今回の検証により、その内2,000種類の申請手続きで「押印の義務」を廃止されました(または署名との選択制)。これは本当にすばらしいと思います!役所側も「証明書の提示や署名で本人証明ができる手続きでも、慣例的に押印を必要としていた」と言っているように、義務ではなくただの慣習でやっていることも多かったのでしょう。押印が義務づけられていないのに求められ、印鑑を忘れたために取りにもどるハメになるなんて無意味なことが減るに違いありません。
千葉市長・熊谷俊人氏の辣腕!
現在の千葉市長・熊谷俊人氏は、以前からハンコ行政に問題意識があったようです。詳しくは下の記事をどうぞ↓
発端となる部分を抜粋します↓
2013年5月28日のツイートで、熊谷氏は、役所には「印鑑を忘れた市民に出直しさせることを不思議に思わない体質」があるとして、「役所文化の象徴:ハンコ」と持論をぶち始めた。
熊谷氏によると、市役所では、内部決裁などをほとんど押印で行っているほか、毎日の出勤簿、出張命令簿などすら印鑑を使っているそうだ。それは電子署名などオンライン化の障壁にもなっているとし、今後は決裁などをまず自筆のサインに改めるよう指示を出したことを明らかにした。※太字は筆者によるものです。
太字の部分について、市長がそういう想いを持っているというだけで嬉しく感じました。役所って「出直してくれ」と簡単に言いますよね。特に社会人だとなかなか役所に行く時間もないので、なんとかやりくりして捻出した時間を役所に充てたのに、書類記載不備で追い返される、なんてことが往々にして起こります。もちろん「これは必ず実印が必要!」という書類があることは理解しています。逆に大したことのない書類も多いんです。素人目に見てもこれはサインでいいだろうと思うような。ここにメスを入れた熊谷市長の行動は、役所側だけでなく利用者のことをしっかり考えてくれているんだなと見て取れますね。
ちなみに記事によると、印鑑業者からは猛反発を喰らっているようです。
「言ってることは解るが、千葉の印章店が全滅することに関して何の対応も書かれていない。負の問題が有ることを語らないのはいかにもお役所的だ」
「我々の仕事を奪う気ですか?サインだけでやっている国に比べてサインと印鑑二つのセキュリティを施した方が犯罪を防げます」
既存の仕事を奪うのが目的ではありません。しかし意識を変えないといけないのは印鑑業者も同じでしょう。今までどおりの事業が永遠に続くと思っている方が危険です。書類が電子に変わっていくように、印鑑も電子印鑑に変わってきています。既得権益を守ることに必死になるよりも、その時代に合わせて最適な方法を選択していくべきだと私は思います。
熊谷市長が今後役所をどのように変えていくのか、神奈川県民ですが非常に楽しみにしています。