フリーランスライフ!① “今日、会社を退職しました。”
正確には3月31日付けで退職なのですが、6日間の有給休暇を消化するため、実質的に本日3月20日で会社に行くのは最後となりました。
今から2年前の4月1日に現在の会社に入り、ちょうど2年間お世話になりました。どんな会社に行っても思いますが、時間が経つのは早いものですね。あっという間の2年間でした。
リハビリのために入った会社
入社した当時、私は死んだ目をした人間でした。
というのもそれ以前に勤めていた会社がいわゆるブラック企業で、ありえない労働時間と薄給でやりくりしていたこともあり、体力ももちろんですが心の方を先に壊してしまい、人と関わることを強く求められる飲食店の店長を続けていた反動もあったからか、適応障害を患うことになってしまったからなんです。
それ以前にうつ病や対人恐怖症の気が出てきたなとは何となく思っていたのですが、まさかここまで酷いことになるとは・・・と今思い出してもゾッとします。人間って、人と上手く関われないだけでここまで絶望できるんですね。具体的に「死」を考えたこともありますし、やけに破滅願望が強くなり、当時の彼女に辛く当たってしまったことを申し訳なく思っています(結局別れることになりましたが、これでよかったんだと思っています)。
もう人に愛想を振りまいて働くのは無理だと悟った私は、当時の知り合いのツテで社会復帰するために仕事を紹介してもらう中で、小さな会社の総務・経理職に就くことにしました。対人関係のリハビリとして、外部と関わることの少ない総務職であればなんとか働けるんじゃないかと考えたからなんですね。
これは半分正解で、半分失敗に終わりました。
正解だったのは、勤めはじめた当初には本当に狭い人間関係の中でしか関わらなくても仕事ができたので、実質的なリハビリとしては成功だったというものです。ここで慣らし運転をしていなければ、きっと研修途中あたりで離脱していたんじゃないかと思います。人事も兼任していたため面接もかなりの頻度で行なっていましたが、面白いことに「仕事」と割り切っていれば初対面の人と話すのは苦ではありませんでした。むしろこの人事の仕事が、私に新しい道を切り開くための道しるべになってくれたと思っています。詳しくは後半に述べますね。
で、失敗した方の半分についてですが、当たり前のことなのですが狭い人間関係の中で完結する仕事で重要なのは「人間関係がきちんと構築できているか」ということに尽きます。正直、当初はあまり問題ありませんでした。しかしだんだん仕事が深みに入っていくと、ドロドロしたものが見えてくるんですね。ああ、結局は上辺だけの繋がりしかないんだなということに気付いてしまいました。最初は繋ぐ努力をしていたのですが、1年経ったあたりから諦めました。筋金入りの「現状維持志向」「保守的」「変化を嫌う」姿勢に愕然としたからですね。これらは、本来私が最も嫌う項目です。リハビリに注視し過ぎていて疎かにしていました。
結局のところ、リハビリの期間を過ごすには適切な会社だったのだと思います。
だが、完治しないまでも適応障害が改善した今、この会社で何ができるんだろうか?
そう思った1年前のある日、出てきた言葉は「何もない」でした。
あまりいいことではないかもしれませんが、「何もない」と判断した理由について明確にしておこうと思います。なぜ自分がこの決断をしたのかについてはハッキリさせておきたい。ちなみにこの「何もない」には、“自分がこの会社できることが何もない”のに加え、“自分がこの会社で成長できることが何もない”ことが含まれています。
・会社にビジョンがない。
リハビリ目的で入った会社。正直な話、この会社がどんなビジョンを持って日々仕事をしており、これからどんな方向に進もうとしているのかを、入社当初は全く意識していませんでした。何より重要なのは自分が無事に生き返れるかどうかだったので、仕方なかったとは思っています。
しかし、いざ自分が本調子になったとき、ふとこの会社にはビジョンがないことに気がつきました。マネージャーや直属の上司、そして社長にも聞いてみたことが何度となくあります。
「この会社を、これからどうしていきたいのですか?」
「どんなビジョンを持っているのですが?」
驚くことに誰も答えられませんでした。というより、答えがなかったのかもしれません。もちろん単純な数値目標はありましたよ。でも私が聞きたかったのは、どうやって会社を成長させていくか、どうやって社会に貢献するかといったビジョンです。それが全くない。または上辺だけの薄い目標に過ぎない。会社の向かっている方向性が見えてこない。とにかく、不安になりました。
ビジョンがないことが良いのか悪いのか、私にはわかりません。ですが先行き不透明なこの世の中、向かう方向性も定まらず近々の数字だけを見てその場限り有効な舵取りしかしていない会社の姿は、私には泥舟にしか見えませんでした。
・ロールモデルとなる上司・同僚がいない
ロールモデルと言うと、少々大げさに聞こえるかもしれません。単純に「尊敬できる」と言い換えても遜色ないですが、そんな尊敬できる人間が会社にはいませんでした。
思えば今までに勤めてきた会社でも、尊敬できる上司にはついぞ出会えませんでした。別に私が高望みしている訳ではないと思うのですが、憧れることすらなかった。会社外にはいるんですよ、何人か。友人と話していて、私が一番もったいないことをしてきたのはここじゃないかと思っています。若いうちに、それこそ社会人3年目〜5年目くらいの間にそういったロールモデルとなる人間を身近に見出していれば、自分に何か変化があったのではないかと考えてしまいます。
一番の難点は、会社を実質的に回す立場にあるマネージャーを全く信用できなかったことです。言うならば、反ロールモデル人間です。私が会社に入ってしばらくはそのマネージャーの上にもう一人いたのでまだよかったのですが、昨年12月後半に体制が変わり、その信用できないマネージャーがトップにきてしまったんですね。正直これが退職してフリーランスになる覚悟を決めたきっかけだったので、ある意味ありがたかったですが。 それによって、この会社がよくなる見込みが完全になくなってしまったことを悟ったのも大きいです。
そしてこの会社に一番失望したのは「誰も部下を育てられない」こと。それを主に担うのがマネージャーであるはずなのですが、気に入らない人間をはじき出して辞めさせることに特化しているのみで、全く部下が育たない。自分の価値が下がるのを恐れて、あえて育てていないんじゃないかと邪推するくらいです。前述した「ビジョン」にも関係してくると思いますが、そもそも良くしようなんて思っていないんだろうなというのが私の見解です。
・労働法を軽視し過ぎている
当ブログをお読みいただいている方はお気づきかもしれませんが、たびたび労働問題についての記事を書いています。(↓※参考)
「怒鳴ること」で人を操ろうとする人について - ヘンテナブログ
日野瑛太郎 『脱社畜の働き方』に学ぶ、”会社” ”仕事”との付き合い方。 - ヘンテナブログ
津田大介さんが感心した『画期的な勤務体系』についての話と、今どき副業禁止規定のある会社は無責任だと思う私の話。 - ヘンテナブログ
ハローワークでは、なぜ企業側の雇用条件虚偽がまかり通るのか - ヘンテナブログ
”モンスター消費者VSブラック企業”の構図は、負のスパイラルしか産み出さない。 - ヘンテナブログ
以前にブラック企業に勤めていた経験があることは前述しましたが、今日まで勤めていた会社もブラック企業だったといって差し支えないと思います。具体的に何の仕事をしている会社とは言いづらいのですが、風営法の絡んだ業種であるとだけ言っておきましょう。
私が勤めていたのはいわゆる「本社」で、多数の「現場」を管理監督している役割です。
もしかすると、本社だけなら「ホワイト企業」なのかもしれません。現に私は毎日ほぼ定時の18時〜19時くらいには帰路についていましたし、残業するのが美徳であるというワケのわからない考え方に深く染まってしまっているマネージャーや、休みにまでわざわざ出勤して仕事をしているらしい社員もいますが、そもそもこの会社では残業代が出ません。おそらく残業という概念すらない。
サービス残業をさせるのはれっきとした犯罪ですし、私はむざむざそんな犯罪に巻き込まれる筋合いはないのでさっさと帰っていますが、帰れるのに帰らない人がいるだけですので、業務的には残業なんてしなくても帰れます。そういう意味ではホワイトです。
ただ、現場は恐ろしいまでのブラック企業。あらゆる手段を使って限りなくブラックに近いグレーなやり方で法律スレスレのところを飛びまわり、法改正や従業員からの申告でブラック色が強くなるたびに微調整を施してなんとか逃げ切る日々。マネージャーが嬉々としてブラックをグレーに染めなおしているのが生理的に気持ち悪く、それに耐えきれなかったのが大きいです。
何度か話はしました。釣り合わない給与と労働に耐えきれず毎月何人もの退職者が出ては採用活動をするという人を育てられない環境では、誰も幸せになれないと。しかし返ってきたのは「俺は会社の側に立たないといけない」という言葉。
私は「従業員を大事に扱い育てることで、お客様に最高のサービスができるようになる」と飲食店の店長時代に学びました。サービス業の現場では従業員がどれだけお客様に心からのサービスを提供できるかに全てはかかっている。しかし、それをいくら話しても馬の耳に念仏でした。
私には「人を育てられない会社は滅びるのみ」という強い想いがあります。それと真っ向から反対する意見を持つ会社では「迎合なんてできないし、私には何もできない」。
基準を満たしているのに社会保険に入れない、時給でなく日給計算にすることによって深夜時給を払わないようにする、そもそも法定時給を割っているなど、労働問題についてライティングしている人間としては納得できないことばかり。こういった労働法を軽視し過ぎているところに納得いかなかったことも大きいですね。
※ちなみに、ハローワーク・労働組合等には相談を兼ねて現状を報告しに行きます。
・環境が自分の肌に合わない
この言葉だけ聞くと甘えのように聞こえるかもしれませんが、2つの意味が内包されています。
ひとつは前述してきた内容をまとめるとそうなるよね、という意味です。まぁ、こちらに関しては甘えと言われても一向に構いませんが、リハビリを済ませた自分にとっては全く適した環境ではなかったということですね。
もうひとつ、ひょっとするとこれは何よりも重要な原因なのかもしれません。
私はアトピー・喘息持ちのアレルギー体質です。
けっこう難儀な体質で、アレルギー数値を測ると花粉やハウスダスト等の埃・粉塵は観測できる上限を遥かに突破してしまうくらい重度ですし、食べ物でいうと小麦を筆頭に牛肉や牛乳、卵に米とかなりの品目にアレルギー数値が出る程です。幸いなことにショック症状を起こすものは今のところなく、まんべんなく悪いといった感じですね(何にもいいことはないですが)。というか気にしていると何にも食べられなくなってしまいます。
ですので、部屋は換気よくして埃っぽさのない状態にしておかないと、極端に体調を崩すハメになってしまうんです。きれい好きなこともあって自室は大丈夫ですが、問題は職場。構造上窓を開けづらく、換気がなかなかできないことと、そもそも周りが換気をする習慣がない。同じ事務所に倉庫も兼ねている関係で埃がそこら中を舞っている。隣接する社長室からはヘビースモーカーである社長の葉巻やタバコ臭が溢れ出てくる。極めつけには社内でネコを飼っていることが大きい!しかも長毛種で、そこら中に毛が落ちている。
誤解がないように言っておくと、私はネコ好きです。この飼っているネコも可愛いと思っています。しかし、毎日のように色んな意味で空気の悪い社内でネコと関わっているうちに、私はネコアレルギーを発症してしまったんです。しかもアレルギー数値は花粉並みの計測不能値までいってしまいました。
これには参りました。もう、体調崩しに会社に行っているようなものですから。
何が悲しくて、苦しむために会社に行かないとならないのか。ネコをなんとかすればいいんじゃないかと言われたこともありました。しかし、このネコは社長の飼いネコなんです。ネコと社員、この会社ではどちらが大事か、言わずともわかりますよね?
その人の魅力を引き出すのが、楽しくなってきた
そんないいことなんて何もなかったように見えるこの会社ですが、ひとつだけ私に転機となる経験を与えてくれました。
前述した「人事」の仕事です。
面接採用自体は以前に勤めていた飲食店でも行なっていましたが、正社員を雇う採用活動をイチからやったことはありませんでした。当時はキツキツのシフトの合間を縫って面接していたためあんまり真剣に取り組めていなかったなぁと反省していますが、この会社では職務として人事職に就いていたこともあり、人と会うためのスケジューリングを自分で組むことができました。
私は元々人と話すのが苦手なわけではありません。ただ、初対面の人にこちらから話しかけるのが苦手だったまでです。あらかじめ決められたアポであれば、それに仕事として割り切れるものであれば何の問題もなく話をすることはできます。異業種交流会やセミナーといった不特定多数の人間が集まる場所では、自分の居場所がどこかわからなくなってしまうんですね。
もちろん心を病んでいたときには、アポを入れてですら人と会うのは苦痛でしかありませんでしたが、リハビリを繰り返すうちにそれにもだんだん慣れてきました。そうやって慣れていくと、「もっと今面接している相手のよさを引き出してみたい!」と思うようになりました。人を育成できないこの会社に対する不安感はあったものの、むしろそれを払拭してくれるようなすばらしい人財を取らねば!という使命感に目覚めたようなんですね。
それからは面接が楽しくなりました。
「どんな人と会えるんだろう」
「どんな魅力を持っているんだろう」
「どうすれば引き出せるだろう」
そんなことを考えながら関わっていくのは、とても楽しかった。
私が行なっていたのは、「面接」というよりも「面談」だったのかもしれません。通り一遍の面接(志望動機、長所短所、自己アピール等)で相手の本質なんてわかるはずがない、というのが私の主張です。
それよりもリラックスして話し合い、自分が楽しいと思うときのことや、やりがいを感じることについて聞いていく。自分が本当に好きなことや楽しいことに関しては、聞かれると嬉しいし語りたくなるもの。確かに会社での仕事に直接関係のあるものではないかもしれませんが、会社では仮面をかぶっていて当たり前。私だって、会社での自分の立ち位置にふさわしい仮面をかぶって働いていましたし。
こうして、その人が一番楽しいときの表情を見ることが、私の幸せになっていきました。
面接官として優秀だったわけではないと思います。会社にふさわしい人財を探すという名目の傍らで、私自身に良い影響を与えてくれるような人と出会いたいという欲望が渦巻いていましたから。ときには後者の方を優先して話していたこともあります。
ただ、こうやって仕事をこなしていくうちに、無力感と寂寥感に苛まれることに苛まれるようになりました。この2年間で採用した社員候補は30人程になるかと思いますが、定着したのはわずか3人!私の面接に問題があった可能性を否定はしませんが、私の上に2人のマネージャージャッジがあることから、人財そのものに問題があった可能性は低いんじゃないかと思います。
面接した関係で、辞める決断をした方の相談相手になることもありましたが、9割はマネージャーと合わないことが原因でした。これは異常事態でしょう。そのマネージャーを職位から外すことについては何度も打診しましたが、人手不足を理由に断り続けられました。このままでは採用活動自体が無駄になるだけ・・・。そういった無力感がありました。
そして上記のように魅力を引き出すことにやりがいを持って採用していても、ネガティブな理由で辞めていく現状があることから、私個人を含めた人間関係の構築にサスティナビリティが生まれないことに寂寥感がありました。要するに、どれだけ「面談」を繰り返しても、持続性を持ってその人たちと繋がれないことがむなしかったんです。
「もっと、人と繋がりたい!」そんな想いを渇望したことが、私の転機となりました。
人と人を繋ぐマッチングサービス・コーヒーミーティングとの出会い
コーヒーミーティングについては、上記リンク先のように当ブログで何度も取り上げていますが、このマッチングサービスと出会うことで私は180度人生が変わりました。
詳しくはぜひコーヒーミーティングについての記事を初めから読んでいただきたいと思いますが、このサービスに出会うきっかけとして、今回退職したこの会社で人事を経験したことが直接の引き金になったのかなぁという印象です。
リハビリの末に渇望した、人と繋がることへの欲求。
このことに目覚めたからこそ、フリーランスになる覚悟を決めた今の自分がいます。
会社という後ろ盾をなくしてとても弱い立場になったにも関わらず、私には明るい希望しかありません。選択肢がなくて仕方なくやり始めたことばかりだった人生(特に20代)。はじめて自分の足で踏み出したような気がします。
今回の記事タイトル通り、自分で決めたフリーランスライフをこれからこのブログで綴っていこうと思います。今日は気構えについて。個人事業主になる申請手続きから実際の仕事についても、事細かに記していこうかなと考えています。
ワクワクするようなフリーランスライフを、あなたにもぜひ!
※参考
イケダハヤトさんとコーヒーミーティングして見えた、自分の未来。 - ヘンテナブログ
人と人とを繋ぐWebサービス 『コーヒーミーティング』 利用レポート⑸ ・12/15 "コーヒーミーティングフェス"に参加して、今までと違うペルソナを見いだした話。 - ヘンテナブログ
フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。
- 作者: きたみりゅうじ
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2005/12/08
- メディア: 単行本
- 購入: 100人 クリック: 1,476回
- この商品を含むブログ (132件) を見る
開業から1年目までの 個人事業・フリーランスの始め方と手続き・税金
- 作者: 望月重樹
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2013/01/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 中山マコト
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/05/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 51回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
なぜキャバクラ代がOKでベビーシッター代が経費で落とせないのか!? ザイが作ったフリーランスのためのお金の本
- 作者: 小迎裕美子,ダイヤモンド・ザイ編集部,岩松正記,小迎裕美子×ザイ編集部
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2012/02/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
※画像はPAKUTASO/ぱくたそ 無料写真素材さんにお借りしました。