炎上しないコメント欄で良質な意見交換・議論の場をつくるサービス『Quelon(クーロン)』
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炎上しないコメント欄を設置する人工知能を使ったサービス『クーロン』
これ、とてもおもしろい試みなんじゃないでしょうか。
ウェブサイトに“炎上”しないコメント欄を設置する人工知能を使ったサービスを、ITベンチャーのQuelon(クーロン、東京都港区、佐藤由太社長)が開発した。ニュースサイトで活発で正常な議論を成立させることができるので、新聞や雑誌などマスメディア系サイトでの採用を目指している。【高橋望】
この「クーロン」は、人工知能が「文章評価」と「ユーザー評価」で判断するシステム。どういうことか簡単にまとめるとこうなります。↓
文章評価
人工知能が書き込まれた文章の意味を解析して投稿された内容を判断する。具体的には公序良俗に反する内容や、差別・人権侵害、出会い目的等の内容を排除するそうです。管理者側はこれに加え、フィルタリング機能を個々に設定することができる。
ユーザー評価
実名を出して言及する人もいれば、ハンドルネームを使って匿名でコメントを書き込む人もいる。この人工知能が重視するのは、まず実名かハンドルネームかの判断。記事によると、例えばハンドルネームを使っているユーザーが、実名で登録しているユーザーに誹謗中傷を加えたり煽ったりしていることがわかると、ユーザー評価値がガクッと下がり自動的に非公開扱いになるといった仕組み。おもしろいのは、一時的に白熱して感情の高ぶりが文章に反映されてしまった場合は考慮されるというところ。
ちなみに、サービス提供するサーバーはQuelonが用意する。コメント欄を呼び出すのも十数行程度のコードをウェブサイトやブログに埋め込むだけで、企業のみならず個人ブログにも設置可能だそう。私も独自ドメインでウェブページを作成する際に導入しようと考えています。
コメント欄って、使ってます?
そもそもなぜこんなサービスが生まれたのか。
Quelonは、ニュースサイト「ガジェット速報」で科学・テクノロジーを専門とした「Technity」というサービスを展開していました。分野的にも議論が行なわれやすいところですが、往々にして議論していくうちに論点がずれていき、最悪の場合はお互いを誹謗中傷し合う「炎上」が巻き起こったりすることもめずらしくありません。しかしこういった「議論の場」は良質な意見交換の場になることもありますし、結果として大量のアクセスを見込めることもあります。
メディア本部の熊谷悠紀さんはこう語ります。
「ユーザーは自己の意見を発して、他人に賛同してもらうことで快感を得る。『他人はどのように感じているのか』『私の考えは正しいのか』が気になり、そのことが自己の考えを磨き、学業や日々の業務に生かすことにもなる。議論を起こすことがユーザー獲得には絶対必要。しかし炎上などが怖くてコメント欄を設置できないのがこれまでの実情だった」
なるほど。私もこのブログを運営していて、コメント欄に限らず自分の書いた記事が読んだ人にどんな影響を与えているか、とても気になります。例え意に反するコメントだったとしても、きちんと説明してくれることで「なるほど、そういう考え方もあるのか」と納得できることもあります。ただの誹謗中傷等はガン無視ですが、同意にしろ反論にしろ何か意見を引き出すことができれば、ブロガー冥利に尽きますね。
また、記事ではこう書かれています。
「Yahoo!ニュース」などポータルサイトに記事を配信しても、自社サイトの固定読者獲得には必ずしもつながっていない。コストをかけて取材した記事が評判になっても、その記事について論議したり討論したりするのはツイッターなどの外部サービスになっているのが現状だ。
そうそうコメント欄って、炎上させたい人たちが誹謗中傷し合う暗闇の場のようなイメージが私にはあります。Yahoo!ニュースはいい例で、コメント欄は本当にひどい記事が多い。もはや論点がどこにあるのかもわからないようなことで、お互いをディスりあっているわけですよ。というわけで、Yahoo!ニュースのコメント欄は全く読む価値がないと判断していました。
しかしこのQuelonが導入されれば、コメント欄が良質な意見交換、議論の場になることが想定されます。お互いの意見を尊重しつつもそれぞれが善しとしている考え方を提示することで、きっと何か新しいものが生まれるんじゃないでしょうか。これはおもしろい!
人工知能にどこまで適切な「判断」ができるのか
気になるのはやはりこれ。冒頭で紹介した「文章評価」と「ユーザー評価」。それぞれで適しているものと判断するのは『人工知能』ですよね。となると、どれほどの精度をもって判断することができるのか、それが何よりも重要となってきます。
可能であれば、Yahoo!ニュースで炎上しているコメント欄にこの「Quelon」を導入することで、表示されるコメントにどのような変化があるか見せていただければと思います。導入を検討したいポータールサイトやニュースキュレーションメディア、個人ブロガーはきっと多いと思います(私もそうです)。ぜひそのあたりを提示してほしいですね。
ちなみに、6月までに導入を決めたマスメディア系サイトは、利用料などすべて無料になるそうです!まずは「導入して試してみて!」ということなんでしょうか。これからの展開が気になるサービスですね!
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